7月豪雨災害に被災された皆様へ

7月初めに西日本を襲った豪雨によって広島県内でも大きな被害が発生し、108人もの尊い命が奪われました。お亡くなりになった皆様に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

2013年2月定例会 一般質問

2013年2月定例会 一般質問
難病患者と障がい者の生活支援を 県内には、難病患者が生活の場として入所できる居住施設はひとつもありません。このままでは、24時間の介護が必要な患者は親が高齢になったり、亡くなったりした時は生きていくこともできません。
難病患者が生活できる施設を県の責任で建設すべきです。重度障がい者の生活の場としての施設も絶対数が不足しています。当事者と協議して、対応を。

民主県政会 山下真澄

1.重症の難病患者と重度障がい者の生活支援について

山下
最初に、難病患者や障がい者の生活支援について、健康福祉局長にお尋ねします。県内には昨年3月現在、特定疾患医療受給者証の交付を受けた難病患者のうち、重症と認定された人が770人、支援の必要度合いがとくに高い障がい程度区分5及び6の障がい者が3,704人おられると聞いております。難病患者や障がい者にはさまざまな行政的支援がおこなわれておりますが、家族などによる献身的な介護がなければ生活できない人や、生命を維持することさえ困難な人に対する支援は極めて不十分であります。
そこで、24時間の介護や医療的な援助を必要とする難病患者や重度の障がい者は県内に何人おられるのか、そして、その人たちの介護や医療的な援助は主にどなたが担っておられるのか、お尋ねいたします。
健康福祉局長
本県における24時間体制での医療や介護を必要とされている難病患者や重度障害者について、御指摘の昨年3月のデータをあたってみました。難病患者さんのデータはございませんでしたが、重度の障害者である3,704名のデータがございました。このうち、障害者自立支援法に基づいて、施設入所等によってご自宅を離れて専門的な医療や介護を受けられている方は1,962名で、全体の半数強となっております。
ただ、これには健康保険法や介護保険法でのサービスは含まれておりませんので、実際はこれよりも多いものと考えております。これらの担い手は、今申し上げましたように、半数以上の方は24時間体制のもとで入っておられますが、そうでない方はご家族を中心とした介護を行われているものと考えております。
山下
今、障がい者の状況については数字でお示しいただきました。半数の方は施設にいらっしゃる。残りの半数の方は家族が介護しておられるということです。難病患者については把握できていないということでしたので、特に難病患者にしぼってお尋ねしたいと思います。
局長は、ムコ多糖症という難病をご存知でしょうか。これは、細胞質の中のライソゾームにある老廃物分解酵素の一部が欠損しているため、分解されないムコ多糖が蓄積して全身の臓器が肥大し、細胞が機能障害を起こしてつぶれていく病気で、欠損している酵素の種類によっていろいろな型があり、症状も少しずつ異なります。
私の知人のお嬢さんはモルキオ型といわれる疾患で、頚椎の損傷による左手及び下半身の麻痺と呼吸困難があり、人工呼吸器を使用して自宅で療養しております。彼女は現在36歳ですが、60代後半になる知人は「自分ら夫婦が死んだら子どもは生きていけない、一家心中するしかないのかと考えることもある」と話しております。
重度の障がいがあり、24時間の介護が必要な子どもを抱えている他の親もみな、同じ思いで悩んでおります。そこで、このような深刻な現実を健康福祉行政の責任者としてどのように受け止めておられるのか、お尋ねいたします。
健康福祉局長
私はかつて秋田県横手市で臨床医をしていたことがあり、その時、別の病気ですが、難病の患者さんの主治医を勤めさせていただいたことがございます。残念ながら、そのとき私は、命を救うことができませんでした。でも、あの時、患者さん御本人や御家族のすがるような瞳は忘れられませんし、その思いがあるからこそ、行政の世界に身を移しても、健康福祉行政の広島県の責任者として一生懸命考えております。
難病は原因が不明で、治療方法も未確定であり、長期の療養を要する場合は医療費の負担や就労の問題等経済的な負担が増加し、患者・家族の大きな課題となっているとともに、将来の不安を含めて、精神的にも負担の大きい疾病であると認識しております。
今年の4月から、障害者総合支援法に基づいて一定範囲の難病を障害と位置付け、患者が地域で質の高い生活を送れるよう、障害福祉支援サービスを受ける制度を開始することとなっております。県といたしましては、難病や重度の障害を抱えた方やそのご家族の負担を少しでも軽減できるよう、まずは、新たな障害者支援制度への円滑な移行に向けて取り組んで参りたいと考えております。山下局長が一生懸命取り組んでいくということは今、披瀝していただきましたので、充分わかるわけでありますけれども、しかし、今申し上げましたように、本人はもちろん、家族も非常に厳しい状況におかれております。従いまして、県としてなすべきことは何か、あるいは、今できることは何かということをきちんと精査していただいて、早急にできることから取り組んでいただくことが大事だというふうに思います。そこで、そのひとつとして、生活支援のための施設を建設してはどうかと私は考えておりますが、そのことについてお尋ねをいたします。
県内には、症状が悪化して入院治療しなければならなくなった難病患者を受け入れる病院はありますが、生活の場として入所できる居住施設はひとつもありません。このままでは、24時間の介護が必要な患者は、親が高齢になったり、亡くなったりした時は生きていくこともできません。そこで、いま紹介した彼女のような難病患者が生活できる施設を県の責任で建設すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
また、重度の障がい者を対象にした支援施設は法人が運営しているものを含めて10ヵ所ありますが、生活の場としての施設は8ヵ所で全体の定員が500人に満たないという現状であります。絶対数が不足していることについてどのような課題意識を持ち、どのように解決しようと考えておられるのか、あわせてお尋ねいたします。健康福祉局長難病患者のうち、病気の原因究明や治療方法の確立を目的とした現行の「難治性疾患克服研究事業」の対象である130の疾病の患者さんは、今年の4月から、原則として市町村を主体とする障害者支援制度に移行することになります。
このため、県では、難病患者さんが円滑にサービスを利用できるよう、実施主体の市町に対する制度の具体的な運用の周知や必要な助言を行うとともに、専門性の高い医療の提供について広島大学や県医師会と連携を図り、医師の育成・養成等について協議をすることと考えております。まずはこれに取り組もうと考えており、現時点で直ちに、県立施設の整備を行うという予定はございません。
また、重度の障害者に対する支援である療養介護につきましては、医療機関も含め、昨年4月現在、市町が見込んだ必要量である499人を超える583人分のサービスを提供できるようになっておりますが、それでも入所待機者が生じているという現状でございます。このため、ご指摘のできることからやるべきということについて、来年度、在宅の重度障害者の状況やニーズ、支援体制等の実態調査を実施いたします。また、平成27年度に向けて県立福山若草園を整備し、重度障害者への支援を充実して参りたいと考えております。山下今のところ、難病患者の入所施設を建設する計画はないというお答えでした。大変なことですから、すぐにというご返事は難しいと思いますけれども、先ほど紹介した知人は「もし、公的な施設を造ってもらえるなら全財産を寄付してもいい」と言っております。このような思いを受け止めて、できるだけ建設の方向で、検討していただくことを要望したいと思います。
また、重度障がい者の入所施設については、通所施設を運営している知人がおります。県の方からその法人に対して「造る努力をしてもらいたい」と言われていると聞いておりますが、医師を配置しなければならないため、そのことがネックになってなかなか難しいとのことであります。当事者とよく協議していただいて、できるだけ対応が前へすすむようにお願いをして質問を終わります。

2.公共事業の入札制度と契約のあり方について

山下
次に、公共事業の入札制度と契約のあり方について、土木局長にお尋ねいたします。
今年度、1千万円以上の負債を抱えて倒産した県内の建設業者は12月末現在で61社にのぼり、経営を維持している中小業者の多くも綱渡り的な経営を強いられています。長引く不況の中で投資が大幅に落ち込み、受注量が減少していることが最大の原因ですが、建設業を営んでいる多くの人から「最低制限ぎりぎりの低い見積もりでないと落札できない」「落札してもほとんど利益が出ない」という悲鳴に近い声が聞こえてくるように、私は、公共事業の入札のあり方にも問題があると考えております。
そこで、県が発注している公共事業の落札価格の平均は予定価格の何%になっているのか、その現状についてどのように評価しておられるのか、お尋ねいたします。
土木局長
土木局が発注しております建設工事の落札率につきましては、平成23年度は85.7%、平成24年度は1月末時点におきまして86.3%となっております。
落札率の変動につきましては、市場環境や企業の経営環境など各種の要因が複雑に影響するものであると思いますが、落札率の分布状況を見てみますと極端な低価格での入札は減少してきておりまして、ダンピング受注が抑制されてきているものと考えております。
山下
お答えいただいた落札の価格の率というものが妥当なものか、あるいは低いのかということについては評価が分かれるところですが、私はけっして高い率ではないと考えております。それは落札をした元請け業者だけが実際に工事をするだけならいいのですが、必ずと言っていいほど、下請け業者が入ります。したがつて実際に工事をするところへ行くと、この落札率と同じ金額で工事が施工できるというふうに必ずしもなりません。予定価格は細かな積算根拠に基づいて計算されています。施工に必要な経費として決定されたものですから、理論上は予定通り100%で落札してもおかしくないということであります。そこでお尋ねいたします。
厳しい経済情勢が続く中、本県においても公共事業予算はピーク時に比べて大幅に削減され、民間の需要も低迷してきました。受注量が減少する中、現金が確実に入って運転資金に充てることができる役所の仕事は業者にとって大きな魅力であり、何とか落札しようとして利益も出ない金額で入札するという現実が生まれているのであります。
税金の無駄遣いは許されませんし、企業間の適正な競争も必要ですが、最低制限価格ぎりぎりでないと落札できないという状況は請負業者の犠牲のうえに成り立っているということであり、景気回復を阻む大きな要因のひとつになっております。そこで、最低制限価格の設定率を引き上げるとともに、国土交通省の指導に沿って予定価格を事後公表とするなど、入札制度を改善すべきであると思いますが、ご所見をお伺いいたします。
土木局長
現在、5千万円未満の工事におきまして採用しております最低制限価格の設定率につきましては、本県で独自に実施した建設工事コスト調査の結果を踏まえまして、工事品質を確保する観点から必要と見込まれる額を分析し、定めているものでございます。
また、5千万円以上の工事に適用しております低入札価格調査の総額失格基準につきましては、昨年6月から、企業が自らの技術力・経営力を踏まえて適切な見積を行った上で入札に参加するよう、市場性を反映した制度に見直したところでございます。
今後とも、これらの制度改正の効果検証を引き続き進めるとともに、予定価格の公表時期の見直しにつきましても、この検証結果を踏まえ、大規模工事で試行する中、適切に判断して参りたいと考えております。
山下
改善に向けて努力をしてこられたことは私も評価しておりますが、企業が元気にならなければ、本県経済が活性化することはあり得ません。さらに改善の取り組みをおこなっていただきますとともに、県内企業の受注率を向上させるための対策も講じていただきますようあわせてお願いして、次の質問に移ります。
低価格による落札には、いまひとつ大きな問題が生じます。受注した業者は可能な限り経費を削減しなくてはなりませんから、従業員の賃金を低く抑えているのではないかという疑念があることであります。そこで、実際に現場で働いている人、つまり、工事を受注した業者だけでなく、下請企業の従業員に支払われている賃金は予定価格で積算された人件費の何%になっているのか、お尋ねいたします。
土木局長
県が発注する建設工事における人件費につきましては、5千万円以上の低入札価格調査制度の対象工事におきまして、確認することができることとしております。
企業から提出される人件費につきましては、同じ職種でありましても工事内容や企業ごとにその金額が異なっておりまして、工事完了後の調査を行った平成23年度工事の主な職種につきまして県の積算に用いる単価と比較してみますと、普通作業員は67%から119%、技能労働者である型枠工は77%から106%、鉄筋工は84%から93%となっております。
山下
支払われている賃金が設計金額より高くなっている場合の理由は分かりませんが、低い方を見ると、低価格による入札は、やはり従業員のところへしわ寄せが行っているといわざるを得ません。そこで、お尋ねいたします。
わが国の経済は深刻なデフレスパイラルの状況にあります。労働者の平均賃金が下がり続けているため消費購買力が落ち込み、販売する側も1円でも安い商品を提供しなければ売れないという悪循環に陥っているからに他なりません。
非正規労働者が全体の35%を超え、ワーキングプアーといわれる年収200万円以下の労働者が1069万人、国民の相対的貧困率が20%にも達するという今日の状況は、極めて異常であります。安倍首相が経団連の役員に賃上げを要請されたのも、いくら大々的な経済対策を打ち出しても、労働に見合った賃金が支払われなければ国民の生活はますます破壊され、景気回復などあり得ないからであります。
そこで、公共事業の契約条項の中に、労働者に支払う賃金は設計額を下回らないことという条件を加えるべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
土木局長
近年の建設産業を取り巻く環境は、建設投資の急激な減少やそれを受けた価格競争の激化によりまして極めて厳しい状況にあり、また、建設工事の重層的な下請構造も起因いたしまして、下請企業や労働者へのしわ寄せが懸念されていることは認識してございます。
賃金などの労働条件につきましては、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令を遵守した上で、労使間において自主的に決められるものであると認識しておりまして、建設工事請負契約約款等で契約相手に労働者への支払賃金について制限を加えることにつきましては、慎重な対応が必要であると考えております。
一方で、低入札価格調査対象工事におきましては、労働者の賃金を含めまして、契約前に適正な履行が確保できるか否かを確認するとともに、工事完成後には実際の支払い状況を確認しているところでございます。さらに、下請企業等に対する代金の支払いが適正に行われているか確認を強化するため、昨年6月からは、元請企業に対しまして下請企業等への支払いの状況に関する資料を毎月求めているところでございます。
引き続き、これらの調査を厳格に実施することによりまして、下請企業や労働者へのしわ寄せの防止に努めて参りたいと考えております。
山下
今、お答えいただきましたように、なかなか難しい問題ではありますが、必ずしも労使で話しをして賃金が決まる会社ばかりではありません。したがって契約条項にいれるかどうかは困難な面があると思いますが、ぜひ検討していただきますよう要望して次の質問に移ります。

3.学校における平和教育について

山下
次に教育の課題についてお尋ねしますので、教育長、答弁席へお願いいたします。
最初にお尋ねするのは、学校における平和教育の課題であります。知事が提唱しておられる国際平和拠点ひろしま構想を実効あるものとするには、県民の意識を醸成することが不可欠であります。国際会議の招聘や平和コンサートなどは、原爆の惨禍に見舞われた県民として、核兵器の廃絶と恒久平和を発信していこうという機運が盛り上がらなければ、単なる行事に終わってしまうのではないかと危惧するからであります。
知事が21日の本会議で、わが会派の東議員の質問に対して「県民向けの意識啓発事業の展開や情報発信などに取り組む」と答弁されたのは同じ認識を持っておられるからだと思いますが、体験を継承する取り組みの弱体化が懸念される中、非常に心配な状況が生まれております。それは、被爆の事実に関する児童生徒の認識であります。
2010年に広島市教育委員会が実施した調査では、広島に原爆が投下された年月日と時刻を正確に知っている小学生は33%、中学生でも55%に止まっています。県内全体で調査すればさらに低い数値になると思われますが、教育委員会が把握しておられる数値と、その実態についてどのように評価しておられるのか、お尋ねいたします。
教育長
ご指摘のとおり、広島市の調査によれば、原爆が昭和20年8月6日午前8時15分に投下されたことを正確に回答した小学生は33.0パーセント、中学生は55.7パーセントとなっておりますが、県といたしましては調査を実施しておりません。
8月6日に広島に原爆が投下されたことにつきましては全ての社会科教科書に取り上げられており、全ての児童生徒にしっかりと指導していく必要があると考えております。
山下
教育長がおっしゃったように現状はとても深刻です。県全体の調査をするかどうかは別としまして、是非取り組みの強化をお願いしたいと思います。心配な状況もありますけれども、しかし、一方では被爆県ヒロシマであり、教職員や県民のさまざまな努力もあります。その結果何とかさきほどの水準で食いとどめているという見方もできます。
学校では、地域におられる被爆者を招いて体験を聞く学習や福山市内で取り組まれている福山空襲に関する学習など、工夫しながら平和教育が進められております。また、広島平和教育研究所が県内11校の小中学生を対象にして実施したアンケート調査では、30%の児童生徒が家族や親戚・近所の人から原爆が投下された時の様子を聞いたと答えており、さまざまな県民が地道に体験を伝承しておられることが分かりました。
そして、広島市教育委員会は昨年3月に平和教育プログラムを策定し、小学校から高校まですべての児童生徒に副読本を配布して、指導の強化に乗り出しております。
県教育委員会としても、現場でがんばっておられる先生方の実践や県民の伝承活動などがさらに充実したものとなるよう、教材の発掘や副読本の作成などに取り組まれるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
教育長
平和教育につきましては、社会科や総合的な学習の時間などにおいて戦争体験や被爆体験の聞き取り、地域に残る慰霊碑等を調べる活動など、地域の実情や児童生徒の発達段階に応じた創意工夫ある取組が行われているところでございます。
教育委員会といたしましては、従来より、毎年作成している「広島県教育資料」にこうした実践事例を掲載し、取組の充実を図ってきたところでございます。今後は、学校での指導の参考となる実践事例を取りまとめ、県内に普及することにより、平和教育の更なる充実を図って参りたいと考えております。
山下
今週月曜日の中国新聞に、沖縄へ修学旅行に行った三次市の中学生の投稿が掲載されておりました。彼女は「ヒロシマの人と同様、沖縄の人々も深く傷ついていると思う。この恐ろしい悲劇をこれからも語り継いでいくべきだ」と書いておりました。
このように、児童・生徒はていねいな指導をすれば、本当に豊かな感性で受け止めてくれるわけです。今、教育長がおっしゃったように、実践事例集をぜひつくっていただき、活用し、取り組みの強化をお願いしたいと思います。

4.教職員による家庭訪問の意義について

山下
次に、教職員による家庭訪問の意義についてお尋ねいたします。先日、小学校の先生から担任している女子児童の話を聞きました。彼女の家庭は父親と彼女、弟の3人家族ですが、宿題をよく忘れるので気になって家庭訪問をすると、1匹の秋刀魚を4つに切って食べていたそうです。残りの1切れはどうするのと尋ねると「明日の朝、お父さんの弁当に入れるの」と答えたそうです。この先生は、弟の面倒を見ながら家事をこなすのが精一杯で宿題をする余裕がなかったことを初めて知り、健気にがんばっている姿に涙が出た、だから放課後に個別指導することにしたと話しておられました。
教育長はつねづね、児童生徒の力を引き出すためには自己肯定感を高める指導が重要であると言っておられますが、そのためには、児童生徒がどのような生活状況に置かれており、どのような課題を抱えているのかということを教職員が把握しておくことが必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
教育長
児童生徒の家庭での生活状況や課題を把握し、保護者と協力して効果的な指導方法を検討・実践するなど、学校の指導を補完するために、家庭訪問は重要な役割を果たすものと考えております。こうした考え方に基づき、小中学校においては年度の早い時期に一斉に家庭訪問を行うとともに、必要に応じて児童生徒の家庭における状況や家庭環境の把握に努めているところでございます。
山下
今、家庭訪問は大事だとおっしゃっていただいたので、安心いたしました。今大きな心配事であります暴力行為やいじめなどの問題に係る指導では、児童生徒の生活を把握することがいっそう大切であると考えます。問題行動を引き起こす児童生徒は自己肯定感が低く、周りのおとなや教職員に対して強い不信感を持っている場合が多いため、ていねいな指導が必要となるからであります。そのため、規範意識が低いと叱責するだけでなく、自分自身の生活を深く見つめ、人間としてのあり様を省みることができるよう援助することが大切であります。私は昨年12月に保護司を拝命しましたが、研修会で保護観察所の担当官が強調されたのも「対象者をまず受け入れるという姿勢の大切さ」でありました。
ところが、児童生徒が問題を起こした時には、仕事中でも親を学校に呼べと言い、担任や生活指導の先生が家庭訪問をしようとしても許可されない校長先生がおられると聞きます。このようなやり方では、児童生徒の心を開く効果的な指導はできないと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
教育長
問題行動を起こした児童生徒に対しては、教員が児童生徒を指導する場である学校において直接指導を行うことによって、教育的な効果が高まるものと考えております。
保護者にあえて来校を求めることにより、児童生徒に、自らの行為が保護者が何をおいても優先して対応しなければならないほど重大な行為であったと自覚させ、学校と保護者が一体となって十分な反省を促すことを通して、児童生徒の健全な育成を図ることができるものと考えております。このことを基本としつつ、やむを得ない理由で来校を待てない場合や、登校できない児童生徒の悩みを把握する必要がある場合などには、家庭訪問が必要であると考えております。
山下
今の教育長の考え方を全面的に否定するわけではございませんが、それぞれに生活があります。ですから、いま申し上げたのは、管理的な発想で対応することがここにはあらわれていると思いますから、それでは子どもの心を開くことはできないと考えましたので、ああいう質問をいたしました。ぜひ、ていねいな指導を徹底していただきますようお願いいたします。
さて、児童生徒の自己肯定感を高め、教育効果をあげるには、教職員と児童生徒・保護者との間の信頼関係をつくることが不可欠ですが、いじめによる中学生の自殺について検証した大津市の外部委員会が指摘しているように、いまの学校は「先生は子どもたちの顔を見るよりパソコンの画面を見ている時間のほうが長い」という状況になっており、県内の学校も例外ではありません。このような現状が解消されない限り、教職員と児童生徒との間に強い信頼関係は生まれるべくもなく、教職員相互の協力体制を築くこともできません。
そこで、学校現場の多忙な実態を改善するために取り組んでこられた業務改善プロジェクトの成果と課題についてどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。
教育長
各学校において効率的な学校運営を図り、教員が子どもに向き合う時間を確保するため、平成22年度に教育委員会内にプロジェクトチームを立ち上げ、事務局から学校に対する調査や照会ものの精選を進めてきたところでございます。また、協力校を指定して、学校内の業務についての実態把握と効率化に向けての助言を行った結果、会議や書類作成のための時間が短縮されるなど、一定の成果が表れてきております。
こうした効果的な取組の成果を全県的に普及していく必要があると考えており、今年度中に協力校も含めた学校の業務改善の事例集を作成して全校に配付することとしております。
山下
教育委員会が努力しておられることは私も承知しておりますので、今お答えいただきましたことをさらに徹底していただきたいと思います。そして、最後に、児童生徒の課題を教職員全体で共有する校内体制を校長先生の責任でつくること、児童生徒の生活を把握するため教職員が家庭や地域へ出向く取り組みを大切にすること、その時間を確保するため事務・事業の見直しと削減をいっそう進めることの3点を、あらためて学校現場に徹底していただきますよう要望して、次の質問に移ります。

5.個人情報を守るための取り組みについて

山下
次に、個人情報を守るための取り組みについて地域政策局長にお尋ねいたします。
一昨年11月、プライム総合法務事務所の経営者ら3人が、他人の戸籍謄本等を不正に取得した容疑で愛知県警に逮捕されました。この経営者は、行政書士の資格を持つ他人の名義を借りて事務所を運営し、職務上請求書を大量に偽造して不正取得を繰り返していました。
その後の捜査では、さまざまな個人情報を売買する全国的な闇ルートが存在している事実も明らかになり、行政書士や探偵業者などから報酬を受け取って情報を流していた自治体やハローワークの職員・警察官・携帯電話会社の社員など30人以上が逮捕されました。
弁護士などの8業士は、職務で必要な場合、他人の戸籍や住民票を取得することができますが、それを悪用して不正を働くという事件が相次いでおり、早急に防止策を講じることが求められますが、まず、この10年間に発覚した事件によってどのような実害が発生していると認識しておられるのか、お尋ねいたします。
地域政策局長
個人情報の保護を図るため平成19年に住民基本台帳法の法改正が行なわれ、住民票の写し等の交付を請求できる場合が限定されるととともに、住民票の写し等を交付する際の本人確認が徹底されることとなり、県としましては、市町に対し、この適正な実施を指導してきたところであります。しかしながら、虚偽の申請等により個人情報の売買が目的と思われるような住民票の写し等の不正取得が全国的に発生しているところでございます。
これらの不正取得によって得られた情報がどのように利用され、実害が発生したかにつきましては、犯罪捜査等で明らかにならない限り確認することは困難ではありますが、人権侵害にも繋がる可能性があるものと考えております。
山下
私たちが調査したところによりますと、戸籍などの不正売買によって同和地区出身者が婚約を破棄された事態や、福山市では同和地区出身でない人も身元調査に悪用されたりしております。先ほど申し上げたプライム総合法務事務所の事件では、暴力団が現職の刑事を脅迫する材料に使いましたから、愛知県警が徹底的な捜査をおこないました。その結果、全国で1万件以上の不正取得をしていたことが明らかになったわけであります。
県内でも、このプライム社の事件だけでも、13市町で167件の被害がありました。さらに、個人情報を売買する闇ルートの中間的な役割をしていた広島市安佐南区の探偵業者も逮捕され、有罪判決を受けました。このような状況を受けて、県警本部は昨年5月から6月にかけて興信所・探偵社に対する立ち入り調査を実施し、公安委員会は本年1月30日付でこの探偵業者に営業廃止の行政処分をおこないました。
これに比べて知事部局の対応はまったく消極的であり、極めて遺憾であります。一昨年の9月定例会で私は、戸籍謄本などの不正取得を防止する対策を講じるべきであると指摘しましたが、局長の答弁は「市町が自主的に判断すべき問題である」という水準を一歩も出ませんでした。県民の人権が侵害されている事実を知りながら極めて傍観者的な態度をとり続けてきた県の姿勢が、違法行為を生み出す一因になっていると言わざるを得ません。そこで、一昨年9月以降、具体的にどのような取り組みをしてこられたのか、お尋ねいたします。
地域政策局長
県ではこれまで、法改正の趣旨を踏まえて個人情報の保護が確実に実施されるよう、国が作成した事務処理要領を市町に周知するとともに、県内市区町で構成される戸籍事務協議会において、住民票の写しの交付等に係る様々な課題や事例等について協議を行ってきたところでございます。今年度は、それらの対応に加えて、全国の各自治体が行っております不正取得に対する独自の取組状況について積極的に情報収集を行い、それを取りまとめたものを昨年8月に実施しました戸籍事務協議会で配付し、全国においてどのような取組が行なわれているのか、その状況を周知したところであります。
山下
戸籍事務協議会で、いろいろな取り組みをしていただいたことは承知しております。昨年は8月の協議会へ出席されて、ペーパーを机上配布されただけで、何の説明もなかったと出席した方から聞いております。こういうことではやはり傍観者的だと言わざるを得ません。そこで、もう一度、登録型本人通知制度の導入に向けて、県として果たすべき役割についてお伺いいたします。
昨年7月には、戸籍と住民票を不正に取得した容疑で行政書士ら3人が鹿児島県警に逮捕されました。この事件は、第三者に交付したという市役所からの通知を受けた埼玉県桶川市の住民が情報の開示を請求したところ、薩摩川内市の行政書士が取得していたことが判明し、被害届を出したことから、県警が捜査に乗り出して不正取得の事実を突き止めたものであります。また、別の事件で愛知県警に逮捕された2人の行政書士は「登録型本人通知制度を導入しているところは危ないので請求しないようにしていた」と供述しております。
これらの事実が証明しているように、登録型本人通知制度は不正取得の防止に大きな効果を発揮することが明らかであります。そのため、大崎上島町に続いて福山市が今月1日から導入し、検討を始めた市町も出てきました。
そして、相次ぐ不正取得事件に強い危機感を持った大阪府や福岡県などは、市区町村に対して実施要綱案や導入の手引きを提示し、登録型本人通知制度の実施を要請してきました。広島県も同様の取り組みをおこなうべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
地域政策局長
「登録型本人通知制度」につきましては、事前登録した方の住民票等を代理人や第三者に交付した場合、登録者本人にその交付した事実を伝えることから、不正防止対策としての効果は見込まれるものと考えております。
一方で、住民基本台帳は市町の自治事務であり、県は市町が法律の規定により行う事務についてのみ指導権限を有していることや、戸籍事務については一切の権限を有していないことを踏まえますと、県から市町への働きかけについては一定の限界があり、県が一律に導入を働きかけることについては慎重に対応する必要があると考えております。
しかしながら、住民票等の不正取得は重大な人権侵害に繋がる恐れもあることから、他府県における取組状況を参考に、市町と制度の導入の課題について議論を行っていきたいと考えております。いずれにいたしましても、法の趣旨を踏まえながら、市町とともに個人情報の保護に最大限努めて参りたいと考えております。
山下
一昨年より大きく前進した答弁で安心しました。ぜひ人権問題を担当している環境県民局とも連携し、早急に取り組みを進めていただきますよう要望して、この項目は終わります。

6.鞆地区の道路港湾整備事業について

山下
最後に、鞆地区の道路港湾整備事業について、知事にお尋ねいたします。
知事は今月7日に現地へ赴かれ、明日の鞆を考える会の代表との懇談会をもたれました。県の最高責任者として、事態の進展を図るべく努力されていることには敬意を表しますが、出席した住民は「福山市に対して協力要請をすると約束してもらったこと以外には得るところがなかった」と話しております。
それは、大多数の住民が架橋の建設を望んでいることを知事自身が認められながら、「湾内については埋立のような大きな改変はおこなわないという原則を変えることはできない」と固執されたためであります。そこで、この懇談会にはどのような成果と問題点があったと認識しておられるのか、お尋ねいたします。
知事
去る2月7日に、私自身が出席いたしまして、埋立架橋推進派の住民の皆様と懇談の場を持ち、県が方針変更したことについて住民の皆様に対して謝罪するとともに、県の方針に基づいて鞆のまちづくりに全力で取り組んでいくという私の考え方について直接お話をし、意見交換を行ったところでございます。
この懇談におきましては、埋立架橋の推進を求める住民の皆様との溝を埋めるには至りませんでしたが、こうした懇談は今後も継続していくこととなったところでございます。今回の懇談で住民の皆様と直接お会いし、お話ができたことは有意義であったものと思っており、今後も、これまで以上に丁寧に地元住民の皆様とお話をしていく必要があると考えております。
山下
知事もおっしゃいましたように、なかなか意見の一致をみることは難しい状況にあることはわたくしも承知しております。それには幾つかの理由があります。一つにはこんなことがあるのではと考えております。
知事は「瀬戸内うみの道構想」の中でしまなみ海道、つまり、国立公園内に造られた架橋を活用して観光客を呼び込む施策を推進しようとしておられます。また、鞆地区の地域振興に関する県の方針では、御幸地区の海岸を埋め立てて駐車場を造成する計画になっております。したがって、景観の不可逆的な変更になるという一言だけで鞆港の埋立を否定するのはまったく筋が通らない話で、住民にも納得してもらえません。
そもそも、架橋の建設は、生命と財産を守るために最善の方策であると、住民と福山市に県が提案したものであります。これを受けて、明日の鞆を考える会の役員、景観の保全と鞆港埋立という矛盾と、住民の一部にある反対意見の中で苦悩しながら、可能な限り景観に配慮した工事にしてもらおうと意見を集約してこられたのであります。
埋立工事差止請求の控訴審を争うこともせず、変更した案を一方的に提示するだけでは、県の計画に協力しようと努力をしてこられた住民を説得することは不可能であります。この点についてどのように考えておられるのか、知事にお尋ねいたします。
知事
ご指摘のとおり、県が県の事業として提案をさせていただいたところでございまして、福山市とともに行政がそれを推進してきたから、であるからこそ、それの方針変更については、これまでご協力をいただいてきた住民の皆様に対し、たいへん申し訳ないことであるということを謝罪したわけでございます。
只今、鞆地区の地域振興にあたっての県の新しい提案は一方的であるいうお話もございましたが、これは一方的に作成して提案したということではございません。まず、計画に賛成・反対の両方の住民の皆様が参加をいただきました「鞆地区地域振興住民協議会」を開催いたしまして、1年8ヶ月にわたって住民の皆様同士の話し合いを通じて、鞆の将来に向けた様々な住民ニーズの掘り起こしを行っていただいたところでございます。
これは、橋を架ける、橋を架けないという解決策の問題ではなく、その背後にある何が問題なのかということに議論をいただいたわけでございます。その上で、住民協議会で明らかになりました、その背景にある住民のニーズをできるだけ満たす方法について総合評価をおこなって、その結果、昨年6月に「山側トンネル」を含む総合対策が、生活の利便性や安全確保と景観保全とを両立させながら、すべての住民ニーズについて最もバランスよく満たすことができる解決策であると考えるに至ったものであるわけであります。
県の方針につきましては、住民の皆様の御理解をいただくために方針の内容や判断に至った経緯などを説明する「住民説明会」を昨年7月に開催をするとともに、引き続き、地元に対して様々な機会を通じて十分な説明をしていくよう努めているところでございます。県としては、鞆の住民の皆様が安心して暮らしながら鞆の歴史と伝統を守り続けていける「まちづくり」の実現に向けまして、地元住民の皆様のご意向・ご要望を十分踏まえた上で、福山市とも協力しながら全力を挙げて取り組んで参りたいと考えているところでございます。
山下
一方的な提案ではないと言われましたが、結論を提示された架橋計画の中味が撤回されたということでありますから、住民の方は一方的だと受取っておられるということです。住民は、これからいったいどんな展開になっていくのだろうかと不安をつのらせております。そこで、困難だとは思いますが、何度でも現地に出向かれ、住民に対する説明と福山市との協議を精力的に進めていただき、1日も早く安心安全なまちづくりを進めていただきますよう強く要望して、質問を終わります。
広島県議会議員 山下 ますみ
福山市選挙区広島県議会議員 山下 真澄 (やました ますみ)
hiroshimakengikai@yamashita-masumi.com
選挙区 福山市
会派 広島県議会民主県政会
期数 2
生年月日 昭和24年9月19日
常任委員会 総務委員会
特別委員会 少子化・次世代育成対策特別委員会
山下ますみ 一問一答
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